花巻市の民俗芸能
(岩手県花巻市)
花巻市の紹介
「早池峰の風薫る 安らぎと活力にみちた イーハトーブはなまき」を将来像として、平成18年1月1日に花巻市、大迫市、石鳥谷町、東和町が合併して新しい花巻市が誕生いたしました。新市は、岩手県ほぼ中央に位置し、市の南北を貫流するように北上川が流れ、西側に奥羽山脈、東側には北上高地の山並が連なっています。北上高地の最高峰である早池峰山は、国の特別天然記念物にも指定されている高山植物群が登山客を魅了しており、奥羽山脈の渓谷沿いには大小14ヶ所の温泉をもつ東北屈指の温泉地であります。
また詩人・童話作家として広く知られる宮沢賢治、日本の前衛絵画の先駆者といわれる萬鉄五郎などの先人を輩出し、国際人・新渡戸稲造や彫刻家高村光太郎ゆかりの地として記念館などが整備されています。交通網も、県内唯一のいわて花巻空港があり、東北新幹線新花巻駅や東北自動車道などの高速交通網も整備されるなど、北東北の高速交通網の結節点という極めて恵まれた地域となっています。
花巻市の民俗芸能
四季折々の変化に富んだ豊な自然環境に恵まれた花巻市には、有形あるいは無形の文化財が数多くあります。国、県及び市指定文化財は280件あり、その中には58件の民俗芸能が含まれています。
国指定1件、県指定8件、市指定49件の民俗芸能のうち30件は神楽団体となっており、まさに「神楽の里」であるともいえます。昭和51年に国指定重要無形民俗文化財となった早池峰神楽は、大償(おおつぐない)神楽と岳(たけ)神楽の二流派があり、弟子神楽は周辺市町村にも広く分布しています。
神楽団体の次に多い鹿踊(獅子踊)は、宮沢賢治も「鹿踊りのはじまり」という作品を残すほど市民に親しまれている民俗芸能で、腰に太鼓を付けて踊る太鼓踊系と太鼓を付けずに衣装の一部を持って舞う幕踊系とがあります。太鼓踊系の頭には、本物の鹿の角が使われることが多く、幕踊系ではカモシカの角のような三日月形の木角が特徴となっています。
また、倉沢人形歌舞伎は、東北地方北部に分布する一人遣いのハサミ式人形芝居です。明治20年頃に人形芝居を見て感動した菅野常次郎という人が、自ら歌舞伎を習い覚え、これをもとに明治27年頃から人形芝居を始めたことから「人形歌舞伎」と称しています。
このほか市内には、念仏踊、大念仏剣舞、奴踊、百姓踊、田植踊、さんさ踊など実に多彩な芸能が伝承されており、これらの民俗芸能や伝統文化を大切にしながら、新たな地域文化の創造と発信につとめていきたいと考えております。
岳神楽・諷踊