長崎市の民俗芸能
(長崎県長崎市)
長崎市には、1件の指定無形文化財と国指定を含む約60件の無形民俗文化財が現在も継承されています。
そのうち『長崎くんち奉納踊』は、昭和54年2月3日に国指定重要無形文化財に指定されており、「長崎伝統芸能振興会」を組織し、その保存継承に努力しております。この奉納踊は77の踊り町が7年に1巡で長崎くんちに奉納しておりました。町の再編成などで町名や町数は変わったり、出し物が廃絶してりましたが、7年1巡制は今日も踏襲されていて、現在は59ヶ町の中から毎年5〜7ヶ町が踊町となり奉納踊を披露しています。
また、長崎くんちとは、直接つながりのない民俗芸能も数多くあります。それらは主に、市の周辺部の元佐賀藩や大村藩の領内であった農・漁業が主な産業であった地域にあり、バラエティに富んだ民俗芸能が保存継承されております。現在51団体が長崎市郷土芸能保存協議会に所属し、協議会が主催する長崎郷土芸能大会(毎年9月開催)に数団体づつ出演し、保存継承に努めています。
郷土芸能保存協議会所属の民俗芸能は、異国情緒豊かなものから日本独特の農耕儀礼に係るものまで様々であり、ほとんどが百年以上の伝統を持ったものばかりです。
なかでも最も多い芸能は肥前系統の浮立で21件もあり、日本の西端、外国との窓口の長崎といえども西九州地方の一部であることを示しています。
獅子舞は7件あり、海外との接点としての長崎を象徴した中国風の踊りとなっています。5件の龍踊と竹ン芸・明清楽なども長崎ならではの芸能であります。
そのほか、飾りそうめんは、たいへん珍しいもので、口説き調の盆踊りやコッコデショなど地域性を反映した特色ある芸能が20件ほどもあります。
なお、これらの芸能の多くは今では、それぞれの地域の神社の祭り(これを『里くんち』と呼んでいます)に奉納されております。
中尾獅子浮立と唐子踊り