高千穂町の民俗芸能 
(宮崎県西臼杵郡高千穂町)


 高千穂の夜神楽


  宮崎県西臼杵郡高千穂町に伝わる「高千穂の夜神楽」は、毎年11月下旬から2月上旬にかけて、町内19地区の氏神様の祭として行われ、地区毎に33番の演目を夜を徹して舞われます。昭和53年5月22日に国の重要無形民俗文化財の指定を受けました。
 神楽研究の第一人者である故・本田安次氏の分類の「出雲系神楽」に属し、神の依代である採物(鈴・扇・弓・矢・太刀など)を手にして神庭(こうにわ)を祓い清め、仮面を着けて天の石屋戸開きや国生み神話や天孫降臨神話などの神話劇を演じるという特徴があります。古代における狩猟習俗や中世における山岳修験道・陰陽道、あるいは近世における吉田神道の神楽改革などの各時代の要素が色濃く残っています。
 現在、保存会は30保存会があり、夜神楽を行っている地区は19地区、夜神楽を行っていない地区では日神楽や半夜渡神楽等を行っています。
 大きく5つの系統があり、それぞれの地区のしきたりで演目やえりもの(神庭を飾る紙飾り)などに違いがあります。
 @ 三田井系統=浅ヶ部・下川登・押方・秋元
 A 岩戸系統=上永ノ内・野方野・岩戸五ヶ村
 B 上野・田原系統=上野・下組・下野・黒口・押方五ヶ村・上田原・下田原・河内
 C 二上系統=山附・芝原
 D 岩井川系統=尾狩・黒仁田
 民家や公民館を神楽宿にし、神社から神を迎え、夕方から翌日の昼近くまで夜を徹して33番を舞い続けます。地区によっては、地区のしきたりで、食事やかっぽ酒が観客にも振る舞われ、毎年多くの神楽ファンが訪れています。
 1番の彦舞に始まり、みんなが眠たい2時前後に「御神体」という大人向けな演目、日の出前後に岩戸5番(柴引・伊勢・手力雄・鈿女・戸取・舞開の6番)が行われ、最後に雲下ろしで33番が終了します。カメラマンは着面の舞を追いかける人が多いですが、素面の舞の中にも素晴らしい神楽はたくさんあります。太刀を振り回す「岩潜り」や歌を歌いながらの「住吉」や「弓正護」など素晴らしいものばかりです。
 詳しい日程は、毎年10月頃、高千穂町企画観光課のホームページに掲載されます。一度見てみたいと思われた方は、御初穂料として1人当たり現金2〜3千円を包むか、御神前として焼酎2〜3升を持って行くと一夜限りの氏子として観覧できます。 舞の説明はその場では行われませんので、歴史民俗資料館や観光協会などで販売されている図書やビデオなどであらかじめ予習されておかれ、図書を見ながら舞を見ていただければ理解もより深まると思います。(高千穂町コミュニティセンター歴史民俗資料館、電話0982−72−6139)  是非一度、お越しいただき、33番を実際にご覧下さいますようお願いいたします。

 鈿女(うずめ)  戸取(ととり)  注連口(しめぐち)


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